3.100%、修復不可能

1/22
前へ
/213ページ
次へ

3.100%、修復不可能

「それでは、今から各班に分かれて準備にとりかかってください」 学年主任の号令を合図に、生徒たちがグループごとにそれぞれ散らばっていく。 周りからどんどん人がいなくなっていくのを見つめながら、ため息をこぼしたいくらい憂鬱な気持ちになった。 今日は新学期始まって初の学年行事、春の遠足だ。 行き先は、学校からバスで1時間ほど揺られた場所にある山。 ハイキングをしたあとに、そこの中腹にあるキャンプ場でグループごとにバーベキューをしてクラス内の親睦を深める。 それがこの遠足の目的なのだそうだ。 新しい学校に編入してきて、新学期が始まって数週間経つ。 挨拶を交わしたり短い会話をするクラスメートはいるし、村田さんも1日1回は親しげに話しかけてくれるけど、とりわけ仲の良い友達はいない。 そんな状況の中、お母さんを心配させないためだけに出席した遠足は、ただ気が重いだけで全く楽しくなかった。 友達同士でお喋りしながら山を登る生徒たちの脇を、ひとりで無言で登るだって結構虚しかった。 さらにそのうえ運の悪いことに、クラスの親睦目的で出席番号順にわけられたバーベキューのグループが星野くんと一緒なのだ。
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!

187人が本棚に入れています
本棚に追加