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カロン。
店のドアにかけたベルが独特な音をたてたそのとき、ふと、ふたりの女は顔を見合わせる。
なにも言わない。それでも彼女たちは示し合わせたように、同時に早歩きで駅に向かった。
「いやいやいやいや!あの電話口の女誰だよ!」
「妹!?姉!?」
「どっちもいないし!てか、アツぽんって!」
「ふつう家族呼ばないよな!」
「「……あのヤロー、一回死ねぇぇぇ!!」」
五月の、よく晴れた日曜日。
ふたりの馬鹿な女たちは、昼下がりの駅に、吸い込まれていった。
幕。
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