中傷の声

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 僕は生まれつき目が見えない。  青い空、緑の森、七色に輝く鮮やかな虹、一面に咲き誇る花畑。  それらがどれ程美しいものかはお父さんとお母さんから教えてもらったけど、それらはやっぱり言葉の上でのみ存在していて、わかった振りして、結局のところ、何もわかってなんかいない。  愛するお父さんとお母さんの顔も、鏡に映る自分の顔さえも、見たことないんだから。  でも僕は、悲しんでなんていないんだ。なぜなら、みんなよりも大きな耳を持っているから。  ほら、遠くで笑うみんなの声がよく聞こえるよ。 「変な形の耳だな」 「まったくだ。あれではまるで醜い動物のようだ」  僕を批難する声だって、もちろん、よく聞こえる。  そんな時、やっぱり僕は悲しくなるんだ。なんだか、お父さんとお母さんが責められているみたいで、胸が苦しくなる。  僕、知ってるよ。僕の目のことで、お父さんとお母さんが夜中に泣いていたこと。お父さんとお母さんは何も悪くないのに、悪いのは僕なのにね。 「気持ちの悪い肌の色だな」 「虫唾が走る、とはこのことだな。お願いだから我々に近づかないでほしいものだ」  目の見えない僕を不憫に思ったのか、お父さんとお母さんは長い間僕を家に閉じ込めていたんだ。そのせいか、僕は肌の色も、どうやらみんなと違うらしい。
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