破滅と再生

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「作ってはいけないものを作ってしまった……」 博士が人生をかけて研究を重ね、それはとうとう完成した。 人間の脳に直接電気的信号を流し、人間の感情を操作できる代物だ。 現に目の前の助手は、悲しめと発信すれば泣き、喜べと発信すれば笑い続けているのだ。 博士は助手に向けて赤いボタンを押した。 すると助手は、人とも思えぬ叫びと共に研究室を飛び出すと、地上六十階の吹き抜けから身を投げた。 「ふふふふ……。私は、この世を支配する神になったのだ。私が殺しあえと発信すれば、人間どもは喜んで殺しあうことだろう。さあ、新しい日本、いや新しい世界の幕開けだ」 ーーーーー 「まだ『地球』にはこの発明は早かったか」 太陽系の惑星が浮かぶ宇宙槽をぼんやりと眺めながら、ホーラ惑星群のガーサ星人が言った。 宇宙槽は、太陽系という何もない空間に星を作り、生物を住ませ、動物に知識を与えるといったようにして、太陽系という惑星群を育てて遊ぶという最新の教育用玩具である。 「もう少し人間のエゴが少なければ……」 ガーサ星人はそう呟くと、地球の神という人間に大きな雷を落として発明ごと焼き払ってしまった。 それだけにとどまらず、いくつもの雷が大地を割き、建造物を粉々にし、全ての生物を焼き払ってしまった。 「ああ、また最初から宇宙を創り直さなければならないな」 ーーーーー 「まだ『ガーサ星』にはこの宇宙槽は早かったか」 ホーラ惑星群のバリン星人がテレビの画面に向かって言った。 惑星シミュレーションゲームにおける宇宙層というアイテムは、通常、想像力を高め、文明の発達に寄与する為のものである。 だがガーサ星人は、自らのエゴに任せて宇宙を破壊することを繰り返す内に、好戦的な星人に育ってしまった。 ガーサ星人はやがて、近隣の星々を次々と植民地化していき、そこに住む生き物たちを凌辱するに至った。 「もう少しガーサ星のエゴ値が低ければ……」 ガーサ星人のエゴ値パラメータを睨みつけたバリン星人は、コントローラーを投げると、テレビの画面は砂嵐になった。 「セーブした所からやり直さなければならないな。ああ、いっそ、また最初からやり直そうかな」 ◆◆◆ 完結 ◆◆◆
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