鬼退治

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 またある日のこと、鬼はリンゴが実った大きな木を一本肩に担いで、山から下りてきました。  それを村人の一人が見つけると、 「鬼がいらっしゃったぞー、鬼がいらっしゃったぞー」  と、村中に知らせました。  すると村中の人が村の入り口に集まり、いらっしゃいませ、いらっしゃいませ、と笑顔で鬼を迎えました。  鬼が村の中央に置かれた大きな椅子に座った、その時でした。  ドスン。  大きな音を立てて、鬼は村人の前から消えてしまいました。  鬼は村人たちが作った、大きな大きな落とし穴に落ちてしまったのです。  鬼は持ってきたリンゴの木を使って、落とし穴から出ようと試みました。 「そうはさせるか」  村人たちは鬼が落ちた穴の中に、石やら泥やら、牛や馬の糞やらを一斉に投げ込みました。  そして、鬼が出てこないように落とし穴に丸太でふたをして、大きな石を乗せると、落とし穴の中を川の水で一杯にしました。  ブク、ブク、ブク。  鬼は息ができなくなってしまい、とうとう死んでしまいました。
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