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長らくの間宇宙探索を続けていた船があった。船の任務は、宇宙の星々の中から人間が移住できる星を探すことである。
今や地球上の資源はすべて取り尽くされようとしている。人間が生きていくために移住先を見つけることが急務となっていたのだが、これまで十分な成果を挙げることはできないでいた。
やがて船は未開拓の星に着陸した。大気を調査すると、地球よりも量は少ないが酸素・水が存在していた。上気気味に隊員たちは口を開いた。
「このような星がまだ存在していたなんて」
「きっと宇宙を流れてきた星で、太陽系の軌道にうまく乗ったのだろう」
「そうか。では念入りに調査をしようじゃないか」
探索隊の一人の男がその星に降り立ち、周りを見渡した。
空の色は青とオレンジ色の中間、ちょうど地球の夕暮れ時のような色をしていた。大地はむき出しの岩肌ではあったが、影となっている部分にはわずかながら苔のような植物が生殖しているのが見てとれた。
「原始の地球といった印象だ。これは大発見に違いない。地球の皆はさぞ喜ぶことだろう」
男は興奮気味に言った。船から通信が入る。
「こちらのレーダーでは、まだ動物の存在は確認できないが、くれぐれも注意してくれ」
「了解した。この先に小さな湖があったはずだ。そこまで行ってみることにする」
男は湖に向け歩き出した。
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