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朝起きるとすでに恋人は起きているようで、俺の寝ている横のスペースには誰もいない。 少し寂しい気持ちになりながら起き上がる。 伸びてきてしまったひげを確認するように顎を触りながらリビングへ向かう。 リビングへとつながっているドアを開けると、コーヒーのいい香りがしてくる。 「ああ、起きたのか。」 恋人に言われたので「おはよう」と返した。 恋人もそっぽを向きながら「おはよう」と言った。 「昨日は遅くなってごめんな。」 「仕事なんだからしょうがないよ。そ、それより……浩(こう)が俺の事ベッドに運んだのか?」 「ん?ああ、そうだけどそれがどうした?」 恋人は真っ赤になりながらもごもごと何でもないと言っていた。 ああ、抱っこで運ばれると言うのが恥ずかしかったのか。 本当に可愛いなあ。 「ん。」 つい笑顔になってしまいながら恋人を見ていると、ずいっとマグカップを渡された。 湯気を立てるコーヒーを受け取ってダイニングスペースに座って、一口。朝はやはりブラックにかぎる。 恋人も向かいの席に座った。 「今日俺、久しぶりに休みだけど、どうする?」 コーヒーを飲みながら聞くと。一瞬きょとんとした後、何か考え込んでいた。 暫くするとおずおずと口を開いた。 「…家でのんびりで良いよ。浩も疲れてるだろうし。」 「で、本当は行きたいとこあるんだろ?どこだ?」 「別にねーし。」 「えー、俺はどっか行きたいけど?」 「……――。」 「え?」 「……だから、駅前に猫カフェが出来たんだって、そこに一緒に行きたいなーって。」 恋人が猫と戯れるだと…!?なにその癒される光景は!! 「やっぱ恥ずかしいよなこんなごつい男が猫カフェなんて。」 「いや、そうじゃない。行こうか!俺も行きたいし。」 そうだカメラも持っていこう。 猫のような恋人と猫、似たもの同士できっととても可愛いだろう。 俺は上機嫌で出かける支度をはじめた。 まあ、でも勿論うちの『猫』が一番可愛いという事に変わりは無いけどな。 END
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