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愛なき地平
小説投稿SNS“スターライツ”。
そこでは常に、多くのWEB小説家達は切磋琢磨しながら己の作品を投稿している。
普段はOLをしている私もまた、その一人。蜜音というハンドルネームで小説を投稿し始めたのが丁度三ヶ月前のことだった。誰でも気軽に発表できる、たくさんの人に読んで貰える大手サイト。場合によっては出版社から出版のお声がかかることもあるし、多くのコンテストを開催しているので日の目を見る機会が多い――そんな謳い文句に惹かれて、私もまた夢見るように小説を投稿を始めた一人だったのだ。
残念ながら。小説を書き始めて二年といえど、いきなり人気者になれるほど――WEB小説の世界も簡単なものではなかったのだけれど。
「なんで!閲覧数全然変わってない!」
私は思わず、怒りのまま机を叩いていた。自宅のパソコン、液晶に表示されているのは私のスターライツのマイページだ。私が連載している恋愛ファンタジー長編『転生したら聖女様で、イケメンに愛される人生が待っていました』。連載開始から一ヶ月過ぎ、毎日更新しているというのにブックマークや評価はおろか閲覧数も全然伸びないのである。
この連載の構想を思いついた時には、絶対に人気が出ると確信していたというのに。流行を取り入れ、女の子がきゅんきゅんできるイケメンを多数登場させ逆ハーを作り、異世界転生や剣と魔法の世界やらを多数取り込んでみせたというのに。
少しでも閲覧数がついたのは、初投稿してからの数日だけ。
今では毎日、一桁の閲覧数もつくかつかないかという有様である。今だって、最新話を投稿し、ツニッターでもイムスタでもあっちにこっちにと宣伝して回ったというのに全然ダメ。スターライツ内の交流掲示板では、頻繁に同じ作品を宣伝しすぎて注意を受けてしまったばかりである。読み合いをしましょう、と書いてある掲示板に自分の作品を貼り付けて放置していたら“読み合いなので担当者の作品を読んで感想を書いてください”と管理者にメールされてしまった。
なによ、と思ったのは言うまでもない。私はあくまで“書き専”なのだ。自分の話を読んで欲しいのであって、他の作者の話を読みたいわけがないのである。時間の無駄なのもそうだし、他の作者の閲覧数を1でも増やしてしまうと思うと心底我慢ができないからだ。
何故、読んでもらえないのだろう。
私の作品は絶対面白いに決まっているのに。ランキング上位にいる、クソみたいな恋愛小説やクズみたいなファンタジーより、私の作品の方がずっとずっと面白いに決まっているのに!
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