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一.各プレイヤーにはそれぞれ六枚のカードが配られる。(今回は二人)
二.プレイヤーは手札からカードを伏せた状態でセットする。互いがセットした時点で同時にカードを表にする。カードの相性により勝敗を決する。
三.カードは「グー」「チョキ」「パー」「グー+」「チョキ+」「パー+」の六種。[+]付のカードについては、[+]が付かないカード(以下[N]と呼ぶ)との対決時、通常ではあいこの相性でも勝利の扱いとなる。(例:「グー」と「グー+」の対決は「グー+」の勝利となる)
四.敗北とあいこの場合、勝負に使用したカードは没収される。勝利の場合は手札に戻る。但し、[N]が[+]に勝利した場合、この[+]付のカードを相手から奪うことができる。(例:「グー」と「チョキ+」の対戦は「グー」の勝利となり、「グー」を出したプレイヤーは「グー」を手札に戻した上で、相手が出した「チョキ+」を手札に加えることができる)
五.対決を繰り返し、先に手札を無くしたプレイヤーの敗北となる。
「――以上が『じゃんじゃんけん』のルールだ」金剛の話が終わった。
リュックの女性は頭から湯気を出していた。はてなマークまで見えそうな勢いだ。
「少々難しく聞こえたかもしれないが、要はじゃんけんの亜種だ。君は手札からカードを選びセットするだけでいい」金剛は女性に向けて優しい口調でいった。
「それでは早速始めようか」金剛は二つのケースからカードをそれぞれ取り出し、二人の前に置いた。ステージの映像が机上に切り替わる。
河塚エルが配られたカードを確認する。律儀にも左から「グー」「チョキ」と、説明書きと同様の並びになっていた。
「なんだかよくわかりませんが、よろしくお願いします」河塚エルが手札をシャッフルしていると、相手の女性はあたふたと頭を下げた。大きなリュックに頭を押さえつけられているようにも見える。「ええっと、お名前は……」
「河塚エルだ。好きに呼んでくれ」
「エルさんですね! あたしのことはとみんと呼んでください!」
「……ああ、わかった」
河塚エルは少し戸惑ったが受け入れた。呼称もそうだが、言葉では言い表せない妙な違和感を覚えた。
「それでは両者、一枚目のカードを選択してくれ」
金剛の言葉を受け、両者は手札に視線を戻した。
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