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レストランに入ると、ウェイターが席まで案内してくれる。
伊吹さんが、窓際の特等席を予約してくれていたようだった。
「夜景が凄く綺麗だね」
「ああ。廣佳はここに来るのは初めて?」
「うん。伊吹さんは?」
「前に一度だけ、仕事で」
「ふふ。彼女とじゃなくて?」
「あっ、何だよ。からかうんじゃねえよ、はは。あ。廣佳は酒は飲める方?」
「強くはないけど、少し飲むくらいなら好き」
伊吹さんから手渡されたドリンクメニューの表を受け取り、目を通しながらそう答えた。
何を注文するか考えていると、ふと、伊吹さんの視線を強く感じた。
顔を上げると、彼はやっぱり、僕のことをじーっと見つめていた。
「え、何?」
「ああ、いや。可愛い顔、してるなと思って」
「へ?」
可愛い顔って……褒められた、のか?
「可愛いって言われても、嬉しくないよ」
確かに、顔が可愛いって言われることは昔から多い。いわゆる女顔なのだ。おまけに日焼けし辛く、肌も白い。
だけど僕も一応男なので、可愛いと言われるよりは、かっこいいと言われたい。
「ああ、悪い。馬鹿にするようなつもりは一切なかったんだ。ただ……
凄く俺好みの顔してたから。つい」
え?
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