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「廣佳、どうかしたか?」
寝室の入り口で、ドアを開けたままぽかんとしている僕に、伊吹さんが後ろから声を掛けてくる。
「えっと……ベッドがダブルなんだけど」
「まあ、そうだな」
「あ……じゃあ僕は、あっちのソファで寝るね」
眼前に広がるダブルベッドの光景を、伊吹さんが当然の様に受け入れていることに少々驚きはしたが、まあ何にせよ、どちらかがソファで寝れば何の問題もない。
……と思ったのだが。
「一緒にベッドで寝るに決まってるだろ」
「え⁉︎」
伊吹さんの発言に驚き、振り返った瞬間ーー杖を持っていない方の手で、肩を掴まれる。
そしてそのまま、顔を近付けられた。
キスしそうなくらいのその距離にびっくりしたけれど、肩を掴まれているから逃げられない。
「え? え?」
何が起こっているのか分からなくて戸惑っている内に、ベッドの上で押し倒されてしまった。
扉も閉まり、完全に薄暗くなった部屋のダブルベッドの上で、大の男が二人、重なり合っている。
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