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男が好き……というのはつまり、恋愛対象が同性だということか。
僕の周りにはそういうタイプはいないから、どうしても驚いてしまう……が、驚いたリアクションは伊吹さんを傷付けるかもしれないと思い、ここでも平静を装った。
「そ、そうなんだね?」
「うん。特にお前みたいな、可愛い顔した奴が好きなんだよな」
先程言われた、〝俺好みの顔〟という伊吹さんの台詞を思い出した。あれはまさに、言葉通りの意味だったらしい。
それに加えて、この状況……。頭が追い付かないけれど、男女に置き換えて考えてみるならば、伊吹さんは僕と、一線を越える行為をしようとしているということで……。
と、とにかく落ち着くんだ、自分……。
「……あの。同性が恋愛対象だということに関しては、少し驚いたけど、偏見は全然ないよ」
極力冷静に、そして自然な笑顔で答える。
「だ、だけど僕自身の恋愛対象は異性だから……こういうことはーー」
「偏見ないなら、一度試してみない?」
「え? 何を……」
「身体の相性」
その言葉とほぼ同時に、伊吹さんの唇が僕の首筋に触れた。
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