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「ならせめて妻の顔を見させてくれないか。まさかまだ処理してないよな?」
「そんなわけないだろう。ただかなりの死臭がするぞ。それでもいいのか?」
俺は一瞬迷った。それでも愛しい妻の顔を見たかった。
「いいよ。早く見させてくれないか」
俺は案内され、階段を上がり二階の部屋にたどり着いた。
「じゃあ開けるぞ」
「おう」
ドアがぎしぎしと音を立ててゆっくりと開いた。
部屋の中を見て俺は腰を抜かしそうになってしまった。
部屋の中には妻の死体のほかに100人越えの女の死体がいた。その死体たちは妻を中心として同心円状に陳列されていた。女たちの顔は何故だか嬉しそうだった。
「おい、どうなって」
俺の視界には狂った顔をして包丁を持つ友人と思われる人影が見えた。
この女たちもこいつに気を許して死んでいったのだろうか。
けれど、包丁から見えた俺の顔は、何故だか笑っていた。
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