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「置き去りになんてされたら…本当に独りだよ」
皆死んだ。大事な人さえ護れずに武士を名乗っていたのかと思うと醜態すら感じる。
想い続けてくれた宗達も自分に希望を与えて下さった蓮花様も大事な短刀を託してくれた父上も皆もうこの世に居ない。
「やだよ……独りは……」
ポツリポツリと言葉を紡ぐ自分の声にも、もう元気なんて当然なかった。私は長年蓮花様の元で仕えてきた。自分だけで生きたことはないのだ。生きれないのだ。本当は自分が動く人形だったのかもしれない。
どうしたら伝えられるのか。
どうしたら皆に会えるのか。
もう一度、皆の元へ行けるのか。
どうしたら……どうすれば……??
あ……
そうだ。
「宗達……待ってて」
私は宗達の体を床に静かに横たわらせ、岳に投げつけた短刀を彼の額から引き抜き、刃を自分の腹部に向けた。
「私も……イケバイイジャナイ……?」
私はその場で見せた初めての孤独な笑顔で、自分の体を鋭い刃で刺して腹部を裂いた。
その激しい痛みも今では幸福に感じるのだった。
皆と共にへ続く…
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