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「心配には及びません、 明日御召になるお着物は高政様と岳さんが蓮花様に着てほしいと選んだ品物です。蓮花様が纏うことによって花咲きますから」
「だといいんだけど…」
こんな会話をずっとしていた覚えしかないのだ。
しかし緊張はしていたらしいが、蓮花様は終始笑顔で幸せそうであった。私にとって蓮花様の笑顔は太陽のようで見るだけで心は温まり、元気を貰えるのだ。
岳さんにこのことを教えると岳さんは笑いながら「蓮花さん可愛いね」と言う。
「高政様は何か仰られていました?」
「あぁ…蓮花さんの着物姿みたいなって言ってたかな」
うーん、と考えながら思い出した様に言う岳さんは二人の婚儀をどう思っているのだろう。
「岳さん、もう少しで武天城に行くんですよね?」
「うん、たぶん」
婚儀はどちらの荘園でもなく武天城で行うことになっている。ここは由緒正しい場所らしく、名のある貴族は、城を買収し、名のある城で婚儀を取り計らうことが望ましいのだと言う。それが貴族としての権力を見せつける要素一つらしい。そんな城へ、高政様が蓮花様を迎えに来られ、準備が整い次第向かおうとしていた。
「あっ!!そうだった!ごめん麗ちゃん!俺用事思い出した!ちょっと行ってくる!!」
「は…!? ちょっ?!」
「すぐ戻るから〜!」
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