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岳さんは、はっと急に何かを思い出し私が何を言うより先に走り去ってしまった。
全くこんな日になんて自由な人なんだろう。
それから岳さんが居なくなってだいぶ経った。彼は未だに帰って来ない。
私としてはもう帰ってこなくても構わないのだが、流石にこんな主の大事な門出に、護衛が不在は立場上まずいだろうと痺れを切らして、岳さんが最後に消えた方へ歩きかけたその時、部屋から蓮花様と高政様が顔見せた。
「あ、蓮花さんそろそろ武天城に行くよ。あれ?岳は?」
「あぁ…それが急に用事を思い出したとかで走って行っちゃって…そろそろ探しに行こうかなと思っていたところでして…」
「えっ?!まったくアイツだけは…!こんな時にいったいどこをほっつき歩いてるんだよ…」
高政様は私と同じ反応を見せため息をつく。
そりゃ常識人から誰でもそうなる。
「でも、親族の方々も呼んであるし時間を遅らせるわけにもいかないから岳はほっといて行こう」
「いいんですか?」
「仕方ないよ。親族の方々を待たせるわけにはいかないからね。まぁ岳ならまたそのうちひょこっと現れるでしょ」
「そうですね」
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