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御二人とも岳さんを迎えに行かずほっておくと言う結論に至り、早速武天城へ向かうみたいだ。
「蓮花!行くぞ!」
「は〜い!今行くわ!」
部屋の中から笑顔の蓮花様が現れる。
着物は岳さんが選んだものだった。
「いよいよね!」
「そうだな、思い出に残る婚儀にしよう」
御二人が荘園の外に待たせてある牛車に乗ろうとしたその時見慣れた男が目に入る。
「あっ!おーい!すみません遅れましたー!」
岳さんが慌てた様子で帰ってきたのだ。息が切れているのは恐らく走っていたせいだろう。
「岳ッ!お前ってやつは…ッ!」
「あははは、すみませんって、ちゃんと帰ってきましたよ」
「当たり前だ」
岳さんと高政様がいつもの調子でやり取りを交わした後、思い出した様に岳さんは一枚の紙を取り出し私に手渡した。
「俺、今知り合いに会ったんだけどその人が麗ちゃんに、これを渡してほしいってさ」
雑に折り畳まれた紙を広げて中を見てみる。
「大至急、永新城の最上階まで参られよ」
中には殴りつけたようにそう書かれてあった。書いた人の名も理由も書かれてはいない。だが、その文面からは何か力強いものを感じる。胸が煩くざわめく。
何やら不吉な予感がした…
失態へ続く
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