予期せぬ導き

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「大至急、永新城の最上階まで参られよ」 岳さんから手渡された紙には乱雑な字体で一言そう書いてあった。 差出人の名前も書かれておらずいったい誰がこれを書いたかもわからない 「これは…」 「何か麗ちゃんに伝えたいことがある人が待ってるんじゃない?二人っきりで教えたいこと 、もしくは誰にも聞かれたくないような話とか?」 反応に困っていると、岳さんは自信はないながらもという感じで付け加えた。どうしたものかと迷い、蓮花様に視線を送ると蓮花様は珍しく少し考えた後、決断したようで、ニコッと笑う。 「行ってきて大丈夫よ麗、あっちのお城へ行っても婚儀はすぐに始まらないと思うし無視するのもよくないと思うから。ほんの少しだけ心配だけれどね」 「すみません、少し外します」 何か話があるだけならすぐに終わるだろう。 事が済めば早急に帰ってくればいい話だ。 「岳さん御二人を頼みます」 「はいは〜い!任せてよ、麗ちゃん!俺達は先に武天城に行ってるね!」 「はい、用件が済んだらすぐ向かいます」 「麗さん気をつけてね」 「高政様、ありがとうございます」 「麗ちゃんが帰ってきて驚いてくれるくらい、蓮花さん見違えるほど綺麗にしとくからさ!」 「くれぐれもおふざけと邪魔立てだけはやめてくださいね」 「え〜!俺ってば信用無さすぎじゃない?」 「自分の日頃の言動と向き直る事ですね」 岳さんの長引きそうなやり取りを乱暴に切り上げた。 それから私以外の3人は牛車の中に乗り込み、そして完全に乗り切ったあと少しずつ動き始めた。 牛車が見えなくなるまで見送ったあと愛馬の元まで駆けた。
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