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「何故そんな場所に…」
きっと蓮花様と高政様はご存知ないだろうが実は永新城はもう何年も使われていない城なのだ。つまりそんなところに呼び出すこともまずそこに人がいること自体不可思議なのだ。人の出入りは無いに等しいはずだと頭に入れていた。差出人は名前を書いていない。
やはり神速殺の関連だろうか。
だがそれなら、何故今回は直接的ではなくわざわざ間接的なやり取りを挟んできたのか。
謎は深まるばかりだ。
「とりあえず…行ってみるしかないか」
私は馬の速度をあげた。
「永新城…」
この便りが来るまで永新城の存在をすっかり忘れきっていた。
永新城は私の初陣の場所から遠くない場所に位置する。
つまり永新城に向かえば初陣の場所も見えるという事だ。初陣の場所と言えば間違いではない距離感に位置する場所ではある。
あの辺り全てがトラウマになっている私にとってあまり立ち寄りたくない場所である。
あれ以来赴いてもいない方向だった。
馬で駆ける。
駆ける。
馬上で大きく前後する揺れに振り落とされないように手綱をしっかり掴んで下半身の内側に力を入れる。上半身を少し屈ませ、空気抵抗を減らし速度上げる。
軽快でリズムの良い蹄の音が一定になるように務める。
そうこうしているうちに、永新城へと到着した。
蓮花様の荘園からはかなりの距離なのに加え武天城とも反対方向でかなりの距離だ。
しかし来てしまったからにはもう引き返すわけには行かない。
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