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そしてまるで迷い込んだような錯覚に陥った。これ程に想像という力を凶器と思ったことは今までない。俺のそんな姿に父上は酷く驚いていた。武士の子供が全員強いなど思わないで欲しい。この時の俺は限りなく女に近い男だったのだから。そんな俺を強くしてくれたのは心から尊敬する父上と、片思い歴が今尚更新されている恭華だった。
俺とは対照的に日々武術の腕を上げていた恭華を見ると武士になる意欲なんてなくなっていた。恭華との武術の差が絶望的に開いていた時、恭華と父上の一言で俺の気持ちは大きく変わったのだ。
「初陣の時背中を預けて戦えるのは宗達くらいしかいないの。だから一緒に戦場で守りあおうよ!いつも一緒だったんだからこれからも一緒に成長するのよ!遅れたら許さないから!」
と恭華に言われ心を打たれて
「弱者は強者より良くも悪くも全てにおいて努力するが故に、結果強者は武術が達者でも心は汚れに満ちた者が多い。宗達は真の強き武将となれ。父はお前の傍にいる。お前と戦場を駆けて勝利を共に手にする日を楽しみにしているぞ。その勇姿を父に見せてくれ」
父上のこの言葉にも励まされた。だから俺は諦めず武士になろうと思えたのだ。
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