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大きな城内に入るための扉を押して中に入ると、昼なのにも関わらず、太陽の光はあらゆる何かに遮られ、中まで十分に日光が届いてはいなかった。少しの薄明るい光を頼りに指定場所を目指す。
指定場所はこの城の最上階。上の階に上がるための階段を探すことにしよう。
城内の廊下を歩いてみると、軋む地面の音から、外装を見て感じたよりもさらに老朽化をこの身で感じた。
人影はなく、ただ静まり返っている。
ギシギシと地面が軋む音だけが廊下全体に反響して鳴り響く。人が長年歩いた形跡もなく蜘蛛の巣や塵埃、朽ち果てた木の柱などが全面的に見えるあたり、間違いなく清潔という言葉は似合わない。
この城が廃城になってから恐らく10年ほどの年月は経っているだろう。
「これか…?」
恐らく階段という意図で作られたと思われる物を見つけた。
「これ…本当に大丈夫なのか…」
全体重を預ければ足場が崩れるのではないかという恐怖心から昇るのを躊躇うが、迷っている時間などなく勇気を出して少し体重をかける。ギシッ…という音が木材の悲鳴に聞こえたが、そのまま足を進め最上階を目指した。
「今日は…長い一日になりそうだな」
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