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努力を重ね今では恭華に引けを取らないくらいにまでなった。そんな俺は武術に対して限界を感じていた時があった。
どうも上手くいかず、何か気分転換としてできるものは無いかと考えた末、独学で武術とは異なる「忍術」を学んでいた。すると自分でも驚く程の才能を発揮したのだ。このことを知っているのは恭華のみ。忍術を学ぶことは武術の放棄を意味する。間違えても父上には言えまい。
「はぁ…!!!」
息を吐きながら恭華が横斬りを繰り出してきた。
はっ!と懐かしい記憶の中から這い出て寸前のところで余裕ぶって避ける。
「おっと」
こんな所でも忍術の素早さが役に立つのだ。
数十分この攻防が続き遂に勝負が決まる。
挑発に乗せられた事もあってか、手合わせは激化して互いが攻防を続けていたが、刀のぶつかる衝撃波の反動の凄まじさに二人共少し体勢を崩し、すかさず俺は刀を片手で恭華の喉元ギリギリに止めた。
「くっそ、引き分けかよ…」
恭華も隙を見逃さず、俺と同じことをして互いに刃を喉元に向けギリギリで止めていた。
「このままお前の喉を斬って二度と軽口叩けないようにしてやろうか」
「うぇー、それはご勘弁を。てかそれ死ぬから。俺は殺す価値もないんだろ?」
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