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時は経ちついに初陣の時。
その戦の舞台で俺は馬に跨っていた。
辺りは何も無い草原。黄緑の地面に馬の茶色や鎧の赤がよく映える。遂に初陣!と言うことは俺の勇姿を恭華や父上に見せるいい機会であると同時に、俺が刀を手にしたあの光景に現実で出会うことになる。果たして俺は正気でいられるのだろうか。
「いよいよだな。宗達、足を引っ張るなよ」
「恭華こそ、本当の戦ってのを見て女みたいに叫んで逃げ出すんじゃねぇのか?」
「宗達じゃないから。一緒にするな」
「うっ…」
痛い。痛すぎる。俺は初陣が始まる前に心に大きな傷を負ってしまった。片想いの人に女みたいと遠回しで言われ同時に、男として見ていないと言われたようなものだ。
ならば敵に恨みはないが敵軍よ、恭華の前で俺に命を捧げてもらう他ない。この場で俺の男らしさを見せつけてやろう。そして、恭華は俺がなんとしてでも守り抜く。無事に皆で帰るんだ。そしてあわよくば恭華の花婿に…(殴)
ふざけた話は置いて、今回の初陣での相手は血の気が多くて戦大国で有名な「唐州」だった。赤色の旗を翻す。
対して自国の名は「彩蘭」でこの国に誇りを持ち、清き青い旗を翻す。
この二つの国は最近仲が悪くなり戦にまで発展した。この軍の大将は恭華の父。
「ゆくぞー!!」
恭華の父の合図と同時に初陣の火蓋が切られた。俺達は一斉に馬を走らせて敵の軍に向かっていく。
「やぁぁぁ!!」「はぁぁぁ!!」と勇ましい声という声が飛び交う戦場。馬と馬がぶつかる臨場感。そして、飛び交う矢。
何から何まで初体験だった。
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