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恭華の父上が指示を出すと彩蘭軍は我先にと逃げ惑う。後から加わった奴魏軍は二手に分かれ、前方に見えた軍は極一部で彩蘭軍の背後を取っていた。やはり皆勝機はないと悟っていたのだろう。せめて自分の命だけはと皆逃げていく。そんな俺達の仲間はまるで狼に狙われた子羊のようで、次々と殺されていく。俺の目の前で斬り殺された仲間も大勢いた。俺達の軍の士気は低下し指示など独り言のように聞き流される。
もう誰にも収拾がつかなかった。みんな散り散りになって仲間も殺されていく戦場。
どうしてこんなことに…!
そんな中俺は馬から振り落とされ恭華とも父上ともはぐれてしまいこの身一つ。忍術よりも不慣れな赤く染まった刀を手に赤く染まった草原をひたすら走る。
恭華を守り抜くと決めたのに…!
無事でいろ恭華…!
焦る気持ちを抑えつつ探し回る。
「恭華ー!!どこにいるー!?」
敵に自分の居場所を教えているのと同じだがそんなことはどうでもいい。来るなら来い…!斬り裂いてくれる。命を奪い取るなど嫌だったはずなのに今はそんなの全く思わなくなっていた。まだ俺は死ねない…!恭華を連れて生き延びるまでは…!
「…!恭華ッ…!」
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