~序幕:思い出と悲劇~

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俺は遂に探し求めていた恭華と遭遇することができた。だがしかし、恭華は馬に乗った敵軍のヤツらに囲まれ身動きを取れずにいた。その中でただ一人恭華だけ馬に乗っていなかった。恐らく彼女も馬から振り落とされたのだろう。 馬に乗った敵軍に囲まれる恭華。考える前に俺の体は動いていた。 まずい…!あのままじゃ殺される…!させるか…! その気持ちが足を前に動かそうとした…が。 「宗達…!?こんなところで何をしている!指示を聞いていなかったか!早く撤退だ…!」 俺の視界は恭華を捉えていたはずなのにも関わらず一瞬にして彼女の姿は見えなくなった。 「父上…!?ご無事でしたか…!」 俺の視界から彼女が消えた理由は、父上が馬に乗ったまま俺の進む道を横に遮って止まったからである。ひづめの音にも気が付かなかった己の気の張りのなさに心底呆れ返る。 「宗達…!早く乗れ…!」 「いいえ父上…!!俺は恭華を助けに行きます…!そこをどいて下さい!」 今すぐに行かないと…!俺は決めたんだ!恭華を守るって…!あいつを助けれるのは俺しか…! しかし父上は譲らなかった。
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