13人が本棚に入れています
本棚に追加
「何を言っている…!こんなところで死にたいのか…!行くぞ来い!」
俺の言葉に耳を傾けず父上は俺を片手で軽々と馬へ引き上げる。
「父上…ッ!!下ろしてください…!!今すぐ恭華の元へ行かないと…!!俺は…!!」
暴れる俺になど見向きもせず父上は俺を押さえつけたまま離さずに馬を恭華とは反対方向に走らせる。父上の逞しい腕の力の前には俺など敵うはずがない
「父上…!!お願いします……!!頼む…!!離せ…!!離せよっ!!!恭華ぁぁぁ!!!」
口調が荒れている事などこの際どうでもいい。
俺はやらないとならないんだ…!好きな人を守るために…!そのためならこの命なんか欲しくない…!
俺の視線の先には敵軍が刀を鞘から引き抜きその鋭い凶器を彼女の頭上に振り上げている場面だった。
今すぐにでも飛び出さん勢いで暴れても父上の力には勝てない。俺は成す術もなく、遠くなっていく大好きなその人に向け必死で手を伸ばすしかなかった。
そして敵軍の1人が守り抜くと決めたその人に向けて刀を振り下ろした。
「やめろぉぉぉぉぉ!!!!!!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッ……!!」
最初のコメントを投稿しよう!