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しかししつこい追手に追い詰められ城の最上階の一番奥にある、もう恐らく人も入り込んでいないだろう物置部屋に息を潜めしゃがみ込み隠れていた。下の階から追っ手が階段を駆け上がる品のない足音が響き渡る。
かなりの人数の追っ手だった。そりゃそうだろう。父上もそれなりに腕の立つ武将だ。
生かしておくわけに行かないはずだ。
父上の強さでも数で押されたらどうしようもない。かと言って俺が加勢しても刀術を苦手とする俺にどうこうできる話でもない。どうすることも出来なかった。
「この階にいるのは間違いないぞ…!!探し出して八つ裂きにしろ…!!」
遠くの方でそんな怒鳴り声が聞こえる。
もう少し静かには出来ないものかと呆れてしまうほどに。
でも俺は恭華を守れなかったんだ。ここで死んであの世で彼女の前でもう1度切腹して謝罪しよう。そうだそれがいい。そう思った矢先父上の言葉が耳に入る。
「くっ…!!もはやここまで…宗達よ、お前だけでも生きのびろ。某があやつらがここへ入ってきた時に襲い掛かってくる奴から順に斬り捨て、逃げ道を確保する。だからお前は私の合図で走れ。お前が逃げる隙くらいは作れよう」
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