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「え…?な、何を仰いますか父上…」
父上の言葉を理解するのに少し時間がかかったものの頭は徐々に情報を整理していく。
それはつまり自分が犠牲になると言っているのだ。
「なりませぬ…!父上、私も共に戦います…!父上だけ残してなどいけません…!それにここで私が逃げようとも奴らはきっと…いえ、必ず私も見つけ出し殺しにくるはず…!奴らが狙っているのは父上だけではありませぬ…!」
思わず声を張り上げ訴えてしまう。自分ではどうすることも出来ないはずのこの戦いでも自分から名乗りを上げて戦うと言ってしまう程には。自分だけ助かるなど…もう…
そんな思いが募る中父上は俺の言葉に少し優しく笑って話し出す。父上のこんな優しい笑顔何年ぶりだろうとその表情に何か心迫るものがあった。
「宗達よ、すまなかった。変なことに巻き込んでしまったな。本当は某はお前の初陣に勝利を掲げてやりたかったのだがこれでは到底出来そうにない。武士としては少しばかり名を上げても父としては力不足じゃ。だがどうかこの恥晒しの父を許してくれ」
「……」
「お前への愛を忘れたことは無いぞ。これだけは武士の誇り…いや、我が心に誓おう」
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