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いつからだろう。歯車が狂い始めたのは。
俺は初陣を果たしたあの時以来、二度と恭華の隣に立つことは無かった。
でも、俺は伝えた。
次に再会する時に俺は気持ちを伝えるのだ。
でもそれは決して笑顔でなんて伝えることは出来なかった。
何故なら俺が守り抜こうと決めた彼女に刃を向けていたから。
彼女の大事な宝物を俺は奪うことになるのだから…。
暫くの月日が経ち、男女の違いをしっかりとその体に示して成長しても尚、俺の恭華へ対する気持ちは微塵も変わってなかった。
他の女に興味などなく、彼女しか目に入らない変態ぶり。長年ずっとこの気持ちを押し殺して恭華の隣にいることは辛いもので何度も気持ちを爆発させかけたが、なんとか耐えた。
「少しは楽しませてくださいよ?」
「こっちのセリフだ」
美しく成長した彼女の姿に俺の気持ちはより一層暴走し……たりなんかはしないように頭を振って別のことを考える。
恭華は立派な女武士になっていた。着物を鎧に変え、花を刀に変え、あの頃の女の子らしさなど捨てて情け無用の武士の誇りを持つ強き心の持ち主となっていた。口調も変わり勇ましく成長したものだ。
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