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「だけど私信じてたから…‼私の専属護衛の座は誰にも渡さないっていうあの言葉を!」
「それは…当然です。ですが…よろしいのですか…?」
私の弱腰な言葉に蓮花様は「何を言っておる!」と、いつもと違う口調で突然話し始めた。
「そなたは、わらわの護衛がお前以外の者に務まると思うておるのか?虚け!わらわはそなただから任命したのじゃ!いつからそんなに虚けになってしまったのじゃ!」
いつもと違う口調で訴えた蓮花様に面食らっていると、眉間にシワの寄った強ばった表情を綻ばせこう言ってくれた。
「だが…わらわはしっかり者より、どこか抜けた虚けの方が好きかもしれぬ」
「蓮花様…」
蓮花様の言葉が全身に注がれる。
蓮花様の涙を見るのも、虚けと言われるのも、気持ちをはっきり聞いたのも今日が初めてだったために余計にその言葉が全身に染み渡った。
「本来私はこんなふうに気取ったような口ぶりをするのが身分に合わせたら普通なの」
「はい」
「そして、更に身分に合わせるのなら、身寄りのない子だった貴方を、あの日私は決して護衛にしなかったわ」
「…はい」
その先は言わずとも言いたい事が手に取るようにわかった。それは蓮花様も同じだったらしく、途端に表情を変えて笑ってくれた。
「…だから、早く傷を治してね麗!私はあなたが隣にいてくれて初めて蓮花になれるんだもの!」
「勿体なき御言葉、感謝致します」
話がひと段落付いたと思ったその時扉が開かれ心配そうな顔で岳さんが入ってくる。
「麗ちゃん!大丈夫?!」
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