激昂の月光下

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「私は幼い頃から身分が高いという理由だけで衣服も食事も全て豪華絢爛だったわ。困ることなんて何一つなくてね…」 「は、はぁ…」 「だけどその代わりに、憎しみや妬みの声も聞いてきたのよ。どうして身分が高いだけでこうも違う扱いなのかってね。ここに仕える人達がみんな私の悪口を影で言い合っていたのを何度も聞いたわ。必死に聞いてないフリをして普通を装っていたけれどね。そのままずっと耐え続けてそんな時にあなたと出会ったの、あの時の麗は殺されかけていたわよね」 「あの時のご恩は忘れません、助けていただいたこと深く感謝しております」 動かせない体の代わりに心からの礼を述べると蓮花様は首を横に振って「違うのよ」と話し出す。 「助けられたのは私の方なの。あなたと出会わなければきっと私は今も変わらずいつかは心が壊れていたわ。そんな私をあなたが暗闇から救ってくれたの」 「いえ…私は何も…」 蓮花様のそんな暗い過去を聞くのは初めてだった。ただ静かに耳を傾けていた。 「あなたが心の支えだったのよ、それは今でも変わらないわ、だから勝手に死んじゃうようなことは許さないからね」 「はい… 」
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