激昂の月光下

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「幸政様、御二人揃って、今日はどのような御用件でいらしたのですか?」 蓮花様は単刀直入に尋ねる。 「んん…何でじゃったか…」 「私と蓮花の事で何かお話しがあったのでしょう?蓮花にも直接聞いて貰いたい話だと、御父上も共に参られたのです!しっかりしてください!」 「おぉー!そうじゃった!いやぁ~この頃どうも忘れっぽく━━」 「それも幾千と御聞きしました。父上の物忘れが激しいのは昔からです!それすらも、御忘れですか!」 ここに来た目的すら忘れてしまう幸政様は流石だと内心感心してしまった。 「そうじゃったの!すまん、すまん。お前達はここで話をしていてくれ。わしは先に澄海殿に挨拶してこよう。久しいから話が弾むだろうな」 「分かりました、後程参ります」 それだけ言うと幸政様は私に「息災でな」と言って部屋を出ていった。幸政様が立ち去られたあと高政様は私に問いかけた。 「麗さん、いったい何があったんだい?岳からは麗さんが致命傷を負わされたとしか聞かされていないんだけど…あんなに強い麗さんが致命傷を負うなんてよっぽどだよね…どんな相手と戦ったんだ?」 「…」
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