激昂の月光下

20/24
前へ
/206ページ
次へ
「大丈夫だよ麗ちゃん!今度奴らが来たら俺が護ってあげるから!」 皆私を心配してくれているようだ。 私だって出来ることならばもう会いたくもないが、彩蘭軍の皆の仇でもある以上そうはいかない。心の奥底で自分が殺らなければと、ケジメをつけなければと思うようになっていた。 「あ、蓮花。そろそろ父上のところへいかないと」 「あら、いけない。行きましょ。二人はここで待っていて、すぐ戻るわ」 足早に部屋を出ていく御二人を見送り、私は岳さんと二人になってしまった現実に取り残される。今日はなんて最悪な日なんだろう。 「二人になっちゃったね」 「· · ·」 これほど、動かない体を憎んだことは無い。 岳さんは私にニコッと笑いかけ、対象に私は警戒心を剥き出す。 「どうしたの?何もしないよ?麗ちゃん何か変な勘違いしてない?」 岳さんは私をからかうようにニヤニヤと笑う。 「…完治したら覚悟してくださいね」 自分の勘違いが恥ずかしい。 変な方向で勘違いしてしまった。 「抱きしめてくれるのかな?まぁ、二人すぐ帰ってくると思うし、楽しく話でもして待っていようよ」 「今日ばかりは仕方ないですね…」
/206ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加