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武はボクシングを習ったから端からパンチの嵐を繰り出して殴り合いに持ち込めたのは望むところで良かったのだが、パンチの数や威力は同じ程度でもパンチの命中率はと言うと多襄丸が7割で武は3割程度だから多襄丸の圧倒的に有利な展開で勝負は進んで行った。
しかし一挙手一投足に影響を及ぼす程の風が二人に吹いて来て二人が互いのジョーをストレートで狙った時、多襄丸の拳が武の顔を掠めて空を切り、武の拳が多襄丸のテンプルにヒットして多襄丸はぶっ倒れ、そのまま立ち上がれずノックアウト負けになってしまった。
武にしてみれば神風、多襄丸にしてみれば風の悪戯と言うべきもので正に武のストレートパンチをクリティカルヒットにした訳だ。
勿論、風神小僧の貫太郎の為せる業だった。
多襄丸は童心が欠けていて寒太郎の存在を知らなかったが、武は童心を持っていて貫太郎の存在を知ることが出来、貫太郎と仲良くなれたからこのような結果になったのだ。
お陰で武は薫と手を取り合って喜びを分かち合い、一緒になれて万々歳となった。
爾来、武は誰の挑戦を受けても退けたから薫を手放すことはなかった。
常に風神小僧の貫太郎が味方についていたからだ。
我々も武を見習おうではないか!
聞け!風の音を!聞け!貫太郎の声を!
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