1人が本棚に入れています
本棚に追加
薫は武と逢引きしてこう言った。
「私、タケルが一番好きよ。だけど、私、タジョウマルのものなの。だってタジョウマルって本当に強いでしょ。だから誰も私をタジョウマルから奪えないの。もし、タケルが私をどうしても欲しいと言うのならタジョウマルに決闘を申し込んでタジョウマルを負かすしかないわね。」
武は嘗て多襄丸と薫を取り合った時に取っ組み合いの喧嘩をして完全に打ちのめされたことを思い出し多襄丸に勝てる訳がないと思ったから薫を諦めざるを得ないいのか、はーあと嘆息した。
「何、ため息ついてるの。あなた男でしょ!ボクシングでも習って強くなりなさいよ!」
「ボクシングか。そういやあ、近くにボクシングジムがあるなあ・・・」
「そうよ。そこで習いなさいよ。」
そう言われて武は重い腰を上げるように言った。
「うん、分かった。やってみる。」
「頑張って!」
「ああ。」
そんな訳で武はボクシングジムでボクシングを習うことになった。
けれども幾ら練習しても一向に自信を持てる程、強くなれた気がしなかった。
で、或る日もジムから帰る道すがら、どうしようどうしよう、いつになったら決闘を申し込めるだけの自信を持てるんだろう、もたもたしてられないし、どうしようどうしようと悩んでいると、そこへ風神小僧の貫太郎が風に乗ってヒューヒュー風音を立てながらやって来た。
最初のコメントを投稿しよう!