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「何、悩んでるんだい?」
「あ、ああ、カンタロウか。君に言っても詮ないことだよ」
「何、言ってるんだよ。僕の風の力を知ってるだろ!」
「知ってるけど、風ではどうにもならないんだ。」
「なるよ。言ってみなよ。」
そう言われて武は恥ずかしそうに口を開いた。
「あの、僕、今、ボクシング習ってるんだけど全然自信持てないんだ。」
「それで。」
「それでタジョウマルに決闘を申し込もうにも勝てそうもないから申し込めないでいるんだ。」
「ふ~ん、何で決闘を申し込まないといけないんだ?」
「カオルを自分のものにするためだよ。」
「ああ、そうか、つまり、カオルをタジョウマルから勝ち取るためにタジョウマルと戦わなければいけないのに戦えないでいるってわけか!」
「う、うん。」
「それならねえ、僕が風の加減をコントロールして君を有利になるようにしてあげるからタジョウマルに決闘を申し込みなよ。」
「大丈夫かい?」
「大丈夫さ!絶対、君を勝たせてやるよ!」
そう言われて武は勇気がもりもり湧いて来て声高に言った。
「よし、僕も男だ!分かった!やってみるよ!」
「うんうん、そうだ!その意気だ!」
という訳で貫太郎に勝利を保証され鼓舞された武は、多襄丸に決闘を申し込み、到頭、その時がやって来て薫が見守る中、勝負の火蓋が切られた。
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