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 中学2年になった。  始業式の朝、校門のところで絵美ちゃんといっしょになる。 「クラス替えやよ。ああ、ドキドキするね」  絵美ちゃんは、興奮して、ほほを赤らめている。  私は人見知りするから、誰と同じクラスになるのか不安だった。  でも、絵美ちゃんはしっかりしてるから、そんなことないのかと思っていた。 「絵美ちゃんもドキドキするのん?」 「そりゃあ、するやん。同じクラスにイケメンがいたら、そんだけで毎日が楽しくなるやん。恋のアドバンテージも高くなるし」 「そ、そっちの話?」 「当たり前やん。ていうか、他の話でドキドキなんかせんて」  生徒玄関に張り出された、クラス発表の名簿を目で追う。 「あ、絵美ちゃんと同じ!」 「ほんとや! キャー! 美郷ちゃん、よろしくぅ」  ある人の名前のところで、どきんと胸が高鳴った。  そこには、1年の時は違うクラスだった沖田くんの名前があった。 「ん? 美郷ちゃん、表情が変わったよ。誰、誰?」 「ううん、別に。えっと、ほら、姫川さんがいっしょやなって」 「うっわあ。けっこう、6の1のメンバー集まってるんでない? ほら、沖田もいるし」 「あれえ? そ、そうやね」  2年生の教室は、2階だった。クラスの表示板を確認して教室の扉を開ける。  目の前に、背の高い男子の背中がある。思わずぶつかりそうになる。 「お、悪い」  くるりと振り返ったのは、沖田くんだった。間近で見るのは、久しぶりだ。まさかこんなに高くなっているとは思わなかった。 「美郷もここか。やったね」  美郷と呼ばれて、ドキッとする。声は低くなっている。  私は、細かくまばたきする。挨拶ぐらいしたいのに、言葉が出ない。 「ちょっと、沖田、じゃま。早く中に入ってま」  後ろから絵美ちゃんが文句を言う。 「何や、絵美もいっしょか」 「何やって、何やの!」  ああ、沖田くんは前から名前呼びだった、と思い出す。  何で自分だけが特別だと思ったのか、おかしくなる。  小学校の時みたいに、普通に話そう。  絵美ちゃんに引っ張られて、席に着く。  でもこれからの学校生活は、きっと楽しくなる。  絵美ちゃんの法則なら、そうやよね。  もう一度、私は向こうにいる沖田くんに視線を走らせた。
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