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 昼休みの図書室は、眠くなる。当番の私は本の整頓をしながら、小さくあくびをする。  カウンターにいる絵美ちゃんも暇そうだ。時折、借りる人のバーコードをスキャンするけれど、あとはカウンターの下で本を広げている。  新しいクラスは、にぎやかな雰囲気だ。  絵美ちゃんは、けっこう6の1のメンバーが集まってるかもって言ってたけれど、結局は4人だけだった。私と絵美ちゃんに姫川さん、そして沖田くんだ。  委員会は、絵美ちゃんと相談して、図書委員に決めた。  第1回の集まりに行くと、千尋ちゃんがいた。絵美ちゃんとハイタッチしていた。  千尋ちゃんはさっと手を挙げて、副委員長に決まった。  もう一人、6の1のメンバーがいた。山崎くんだ。  彼は相変わらず、虫博士だ。委員会の最後に、みんなで本の整頓をした。 「山崎ぃ!」  千尋ちゃんの声が上がる。山崎くんは、棚の陰でこっそり虫の図鑑を開いていたのだ。  昼休みもあと少しだ。今日借りる本を選ぶ。  棚を何げなく見ていて、「花言葉図鑑」という本をみつける。興味がわいたので、取り出してパラパラとページをめくる。花言葉の由来を読んでみると、どうやら、その花の様子から決めているみたいだ。つる植物だから「あなたに寄りそう」とか。  その本を絵美ちゃんの前に差し出す。代わりに、絵美ちゃんが書いていた当番日誌をもらう。 「えー、美郷ちゃん、花言葉? ロマンチック」 「ああ、えっと、ママの趣味がガーデニングやから、教えてあげようかなって」 「ふうん。ちょっと見せて」  絵美ちゃんも興味がわいたみたいだ。 「あ! ツツジ! 花がら摘みしたね」 「ああ、うん。西山公園、大迫力やったね」  言葉ではそう言いながら、頭に浮かんだのは、沖田くんと蜜を吸っている様子だった。 「ツツジって、色によって花言葉が違うんやって。ピンクは愛の喜び。赤は燃える想い。うわあ、けっこう情熱的やん」 「へ、へえ。色のイメージかな」  頭の中を見られたわけでもないのに、1人で焦る。 「あ、白いツツジは、初恋やって。まあ、他の色の花より、初々しい感じやもんね」  初恋。  そうか。 「美郷ちゃん、何、ポカンとしてるん?」  絵美ちゃんに指摘されて、慌てて日誌の続きを書く。  顔が赤くなっていませんように、と祈った。
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