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3.
学校生活は、次から次へと行事が押し寄せる。新しいクラスが落ち着く間もなく、今度は校内合唱コンクールがある。
曲はいくつかの候補曲の中から投票で決めた。
今日の学活では、指揮者、伴奏を決めることになった。
1年生のクラスでは、私が伴奏をした。6年生の時、伴奏したのを知られていたからだ。
けれど、後から聞いてみると、クラスの中にはピアノを習っている人は何人もいた。確かに、合唱の伴奏は、負担になる。レッスン以外の練習をしないといけないし、合唱の練習の時には、指揮者が指定した音をすぐに出さないといけない。信頼関係が必要になる。それが、めんどうくさかったのかと気付いた。
今年は、何としても伴奏を替わってもらう。
絵美ちゃんにもその気持ちは伝えた。
「何で? 美郷ちゃん上手やで、今年もやったらいいやん」
認めてもらってるのは嬉しいけれど、簡単に言われても困る。
「あのね、弾くのは嫌でないんよ。でも今年のクラスには、姫川さんがいるでしょ」
「……うーん」絵美ちゃんは渋い顔になる。「姫川さん、やるかなあ。市の音楽会ならまだしも、クラスの伴奏なんて引き受けんかも」
絵美ちゃん基準で言うところの、私と姫川さんの違いはどこって、追求したい気持ちをぐっとこらえる。
「とにかく、学活では、姫川さんを推薦したいの」
絵美ちゃんは、100%納得はしてないようだけど、わかったとうなずいてくれた。
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