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「では、合唱の伴奏者を決めたいと思います。ピアノを弾ける人とか伴奏経験者とか自薦他薦構わないので、名前を挙げてください」  学級委員の沢村くんが進行する。指揮者はさっき、沢村くんに決まった。  私はお腹に力をこめて、まっすぐ手を挙げる。 「えっと、天谷さん」 「あの、姫川さんを推薦します。ピアノの腕前はプロ級だし、音にも厳しいので、きっと素晴らしい合唱になると思います」  すとんと席に座る。自分でも、しっかり言えたとほっとする。 「他にはありませんか?」  沈黙の時間が流れる。すると、すっと手が挙がった。 「はい、姫川さん」 「伴奏は引き受けます。その代わり、指揮者を指名します」  どういうこと? とか、せっかく決まったのにとか、四方から声が上がる。 「えっと、僕では不足だということですか?」 「はい。ちゃんと音を聞ける人でないと、信頼関係は結べません。指揮者は、天谷さんにしてください」  え? 今、私の名前を聞いたような。
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