真夜中は別の顔

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真夜中は別の顔

- 闇弁護士 × 情報屋 - ベッドに横たわる姿を見つめる。 顔に、身体に、無数の傷と痣。 そのどれもが痛々しいのに、そのどれもがこの男の妖しいまでの可愛らしさを損なえないでいる。 瞼を縁取る睫毛を、人差し指でなぞる。 左の耳朶にぽつんと座る黒子を、親指で撫でる。 「んぅ…、カズキ…?」 瞼が震えてゆっくりと持ち上がる。 「起きたか?」 「カズキの…夢、見てた…」 「そりゃ、つまらないものを見たな」 「ううん。カズキ、すっごくカッコよかった」 夢を思い出しているのか、うっとりと笑うショウの頭を撫でる。 「…傷、増えたんじゃないのか?また無茶してるんだろう」 「平気…だって、カズキの為になるんだから…」 いつ頃だったか、うちの事務所の裏で傷だらけで転がっていたショウ。 手当てして介抱してやったら、懐かれてしまった。 「先生のトコみたいな商売って、情報が命なんだろ?俺、そういうの集めるの得意だよ」 まだ傷痕が残る顔はよく見たら少し幼くも見えるのに、同い年だと知れば親近感が湧いた。 それ以来ふらりと遣って来ては俺の仕事を手伝い、仕事が片付けばふらりと立ち去る。 そんなことが数回続いたある日、いつものようにふらりと遣って来たショウは初めて会った時のように傷だらけで、その所為か震える身体を一晩中抱き締めて眠った。 「二度と無茶はするな。それが守れないならもう此処には二度と来るな!」 あの時、とっくに俺はこの男の総てに搦め捕られていたのだろう… 「カズキ…、怒ったのか?俺が無茶したから?」 「…怒ってないよ。…ココアでも飲むか?甘いの好きだろ」 素肌に上着を羽織りながらベッドを離れリビングへと抜けた時、背中に感じる温もり 「カズキ、怒らないで!追い出さないで!…嫌いにならないでくれ…」 「…言ったろ、怒ってないって。ショウが居たいだけ此処に居れば良いし、ショウがしたいようにすれば良いんだよ」 腹に回された微かに震えている腕に触れる。 「…なら、キス…したい」 少し乱暴に腕を解きショウの後頭部を引き寄せると食むようにして唇を重ねる。 「ショウ……、ショウ…っ…」 「…んっ、…カズ、キ…」 バランスを崩して傍らのソファに倒れ込むように腰を落とす。 俺の上に乗り上げてきたショウの濡れて煽情的な眼差しが、俺の全身を支配する。 「……ショウ、してくれないか…?」 微笑ったショウの顔が下がっていくのに合わせて、少しだけ腰を浮かせた。 - 終 -
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