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王子様と呼ばないで
- 幼馴染の同級生 -
「ねえ!透哉君って昴流王子と幼なじみって、本当?」
「ぶっ!!」
飲んでいたコーヒー牛乳を盛大に噴いて思いっきり噎せた。
「ちょっと!ヤだ!森君、汚~い!!」
「げほっ!げほっ!は?げほっ!え?すば…王…じ?」
「昴流王子!原昴流君の事よ!!」
「学校中の女子生徒がそう呼んでいるの、知ってるでしょ?」
そういや、他のクラスの女子もそんな風に呼んでたな…
「森君だって偶に王子って呼んでるじゃない!」
「昴流王子が男子でそう呼ばせてるのって、透哉君だけなのよ!?」
廊下で女子数人に囲まれて矢継ぎ早に問われるのに、はて?と思い返してみる。
昴流とは小学校入学前からの付き合いだ。
女の子みたいな顔立ちのせいか、よく男共にからかわれてたっけな…
逆に女子には「昴流さま」と羨望の眼差しを向けられて
女の子みたいと言われるのが嫌で体を鍛えだしてからは、更に女子のファンが増えた。
中学生の頃、数人の女子が「王子様」と呼び出したのを機に俺達も面白がって「王子」と呼ぶと、俺以外は跳び蹴りを喰らってたな…
俺にだけそんな風にしないのは、ガキの頃いじめっ子から庇ってやってたからだと思っていたけど…どうなんだ?
「昴流様って、彼女居ないんだよね?」
「ねえ、昴流王子はどんな子が好みか、透哉君は知らない?」
「彼女?好み?…アイツの?」
「やっぱり、美人で女の子らしい子が好きなのかなぁ」
高校に進学して、他校にもファンクラブがあるという噂も耳にする。
でも、アイツ彼女いなかったよな…何でだ?
登下校は基本いつも俺と一緒だし、休み時間も大概教室に居て俺等とバカ話に興じる。
休日もよくどっちかの家でゲームしたり、一緒に出掛けたりするよな…
…ふと、思い至る。
気が付けばいつも一緒に居る。必ず隣に居る。
昴流の姿が見えないと、何故か不安になって探してしまう。
反対に俺がフラッと離れると、戻ってきた時に凄い剣幕で怒られる。
「透哉!何処に行ってたんだよ!?何してたんだよ!?」と。
…あれ?もしかして、俺って昴流の事が…好き?
…てか、もしかして、昴流って俺の事が…好き?
素早く見回した教室の中、不機嫌そうに俺を睨んでいるアイツを視界に捉える。
俺の視線に気づいてプイッと横を向く姿に、思わずニヤける口元を慌てて隠した。
…そっかぁ…そうなんだぁ……好きなんだ
今日の帰り道は、少し遠回りして帰ろっか…
- 終 -
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