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それが何を意味するのか直ぐに分からなくて
「那智兄さん、それどうしたの?」
「え?」
「首の下、赤くなってる」
自分の体の同じ様な位置を指差した。
すると、一瞬にして耳まで真っ赤になった兄さんが動揺を丸出しにして
「あ、えっと、これは…その…」
狼狽える姿に、その痕の意味にやっと気づいた。
「ああっ、あの、その、何て言うか…ごめん…」
「……いや…」
俯いて聴こえないくらい小さな声で何か言った兄さんに、俺まで恥ずかしくなる。
奎亮兄さんってば!!
何が「風邪ひいたのかも」だよ!?兄さんの所為じゃん!!
何とか気持ちを落ち着かせ様と椅子から立ち上がった時、ノックが聞こえた。
「は、はい?」
変に上擦った声で応えると、ドアが開いて痕を付けたであろう張本人が入って来た。
「那智、透真がお粥作ってくれたよ」
奎亮兄さんに続いて透真先輩が小さな鍋とお椀、それにスプーンを乗せたトレイを持って入って来た。
「まだ熱いから気をつけてくださいね、水谷さん」
「あ…ど、どうもありがとう…」
お椀にお粥を装って那智兄さんに手渡す奎亮兄さんに、何故か見てはいけない光景を見ている気がして、静かに部屋を出た。
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