2/3
前へ
/21ページ
次へ
それが何を意味するのか直ぐに分からなくて 「那智兄さん、それどうしたの?」 「え?」 「首の下、赤くなってる」 自分の体の同じ様な位置を指差した。 すると、一瞬にして耳まで真っ赤になった兄さんが動揺を丸出しにして 「あ、えっと、これは…その…」 狼狽える姿に、その痕の意味にやっと気づいた。 「ああっ、あの、その、何て言うか…ごめん…」 「……いや…」 俯いて聴こえないくらい小さな声で何か言った兄さんに、俺まで恥ずかしくなる。 奎亮兄さんってば!! 何が「風邪ひいたのかも」だよ!?兄さんの所為じゃん!! 何とか気持ちを落ち着かせ様と椅子から立ち上がった時、ノックが聞こえた。 「は、はい?」 変に上擦った声で応えると、ドアが開いて痕を付けたであろう張本人が入って来た。 「那智、透真がお粥作ってくれたよ」 奎亮兄さんに続いて透真先輩が小さな鍋とお椀、それにスプーンを乗せたトレイを持って入って来た。 「まだ熱いから気をつけてくださいね、水谷さん」 「あ…ど、どうもありがとう…」 お椀にお粥を装って那智兄さんに手渡す奎亮兄さんに、何故か見てはいけない光景を見ている気がして、静かに部屋を出た。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加