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すっかり眠ってしまっていたようで、周りが席を立ち、降りる支度をする音で目が覚めた。ちょうど私の降りるバス停だった。
ドイツから買って帰ってきた仕事相手に渡す手土産を荷棚から下ろし、座席の鞄を手に持ったところで窓の外に気がついた。
ちょうど私の見える位置に立ち、両腕を上げてこちらに向かって声を上げている人がいる。
真っ黒のパーカーにジーンズ。大きな熊のような体格で、ジャンクフードが好きそうな色白の濃いめの顔。口の動きは、私の名前を呼んでいる。
私はガサガサと手荷物を座席に当てながら慌ててバスを降りた。
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