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「ユウちゃーん」
「どうしたの慎太郎」
私の反応が狙い通りだったようで、満足そうに笑顔で近づいてくる。
「出迎えに来ました。驚いた?」
背後でバスから荷下ろしをするおじさんに荷物の半券を催促されながら、何度も首を縦に振った。
「そりゃびっくりするよ。今までこんなことないもん」
足元にどかっと置かれた私のスーツケースを慎太郎が受け取る。以前会った時よりも髪が短くなって、太い首が目に映る。ふわっと香るのは慎太郎が昔からつけていた香水だ。
「ユウちゃん俺に会いたいかなって思ってさ。お母さんからもバスに乗る時間聞いてたから、調べてきちゃった」
あどけない表情にふっと気持ちが宙に浮く。
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