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「ん?どうした?」
気がつくと私は手荷物を下ろし、彼の背中にほとんど抱きつくような形で、触れていた。触りたかった頭には届かなかったけど、慎太郎は立ち止まって振り向いた。
「なんか今すごいハグしたい」
きょとんと私を眺めて言われていることを理解しようと間を取る。大きな荷物を持った人が私たちを避けて通り過ぎていく。
そして、ふっと笑いながら一度俯いたあと、慎太郎はゆっくり両手を広げて私を覆うように抱きしめた。さっきより確かに感じられる、懐かしい慎太郎の匂いを吸い込んだ。
「どう?安心した?」
私の気持ちをなだめるように背中をさすり、頭の上に自分の顎を乗せる。
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