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牛丼屋での慎太郎は、見ていて清々しいほどの食欲おばけだった。私が頼んだ小盛りの牛丼と味噌汁がなくなる前には、大きなどんぶり鉢の中身を吸い込むように平らげてしまった。
「ユウちゃんはゆっくり食べな」
食べ終わったのにまたメニューを眺めているあたり、学生時代から全く食欲が変わっていない様子。
たゆんだパーカーの袖からは分からないけど、大きく膨らんだ腕の筋肉を見る度に、この人はいつまで成長期なんだろうといつも感心していたっけ。
「慎太郎、それより時間は大丈夫なの?明日仕事は?」
カウンターの向こうに見える掛け時計を見るともう22時を過ぎていた。
「何言ってんの、世間は金曜日だよ。俺も休みだし、ユウちゃんもでしょ?」
そっか。連日のドタバタと長時間フライトの影響か曜日感覚が狂っていた。
「相当だね、疲れてんだな」
そう慎太郎に言われて改めて疲れを自覚した。
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