第一章 鬼の能力者たち

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「先輩、良かったらメシでもどうですか?」 「断る」  影仁は間髪入れずに吐き捨て、二人を置いて校門へと歩きだした。 「お、おい影仁……おい後輩。影仁が迷惑してるのが分かんないのか?」 「い、いやですねぇ。そんなに睨まないでくださいよ」  ずいっと青筋立てた顔を近づける智也に、光汰は苦笑しながら後ずさる。  すぐさま(きびす)を返すと、そしてそのまま影仁の後ろを追いかけていった。 「ったく。なんなんだあいつは……」  いつの間にか、不満げに呟く智也だけがその場に取り残されていた。  ――――――――――  時刻は二十一時を過ぎ、駅前の地下は人通りが少なくなっている。本屋やアクセサリーショップなど、どの店もシャッターを下ろしていた。  その地下街の一角に、ドラックストアが一件。光汰は、従業員用の入り口のカギを開け、中に入る。真っ暗な部屋を進み、従業員会議室へ入る。入るなりすぐに部屋の照明を点けた。  会議室は四つの長机が正方形に配置され、椅子は各机の下に二つずつ。部屋が明るくなると同時に、光汰は先客に気付いた。
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