序章 中東生物災害

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「ぎゃぁぁぁぁぁあっ!」 「な、なんだこいつらはっ!」 「敵の兵器か!?」  先頭で前進していた小隊から断末魔の悲鳴が響く。影仁は足を止めた。敵の陣営から全速力で疾走してくる人影を見たからだ。  それはまるでイノシシのようにまっすぐ突き進み、素手で兵士に襲いかかると、人肉を噛みちぎっていた。獰猛(どうもう)な息遣いと、白目を剝き不自然に筋肉が隆起したそれは、バケモノ以外に形容できなかった。  よくよく見てみると、そのバケモノたちは敵の軍服を着ていた。影仁は尋常でない悪寒に突き動かされ、敵の本陣へと一心不乱に駆け出す。 「ちっ! どけぇっ!」  影仁は、襲い掛かってくる人の形をしたバケモノたちを両手の剣で切り伏せながら、返り血をものともせず駆け抜ける。 「くっ! うおぉぉぉっ!」  雄叫びを上げ、次々倒れていく仲間を尻目に押し通る。柔軟でまだ未発達な体を武器に、仲間の横をすり抜けながら。
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