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「――傭兵が全滅したか」
インカムを壊されていた清悟は戦況を把握していなかったが、もし郷田の言う通りであれば、傭兵を倒した悠哉たちは真っ先にここへ来る。そうなれば形勢は逆転だ。清悟は大剣を両手で強く握る。
「これで形成は逆転。そう思っているのなら残念だったな」
「なに?」
郷田の言っている意味が分からず清悟が顔をしかめると、その左奥で突然教会の扉が開かれた。「バタン!」と乱暴に。
清悟が郷田の動きを警戒しつつ扉へ目を向けると、入口に立っていたのは教徒たちだった。ただ、様子がおかしい。顔を下へ向けながらゆらゆらと歩き、息遣いは荒く、肥大化した肉体が猛々しく脈動している。
郷田が狂ったように顔を歪め呟いた。
「――もう、『夕方』だ」
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